人参栽培指針

ニンジン(セリ科)
原産地 アフガニスタン
生理・生態
  • 発芽適温:15〜25℃。8〜30℃の間なら発芽する。
  • 生育適温:18〜22℃。3〜28℃の範囲で生育する。
    低温では、根の肥大が悪くなり、着色も悪くなる。
    しかし、肥大した根は、凍害に強い。
  • 花芽分化:ある程度の大きさになってから、10℃以下の低温に一定期間あうと起こる。

1.作形と品種

作形と品種

2.栽培上の留意点

  • ニンジンの栽培は、発芽にかかっています。乾燥時に播種すると非常に発芽が難しくなります。雨のあとの、圃場が湿っている日に播種を行いましょう。播き床には、たっぷり水やりをして、土を落ち着かせてから種をまき、細かい土で覆土をする。そして、その上を鍬などで抑えて鎮圧し、切りわらやもみ殻をかけて、乾燥を防ぐようにします。
  • 中間管理で重要なのは、土寄せです。肩の部分が地上に出て、緑色とならないように株元へしっかり土を寄せる。
  • 間引きは、1回目は本葉3〜4枚のとき、2回目は本葉5〜6枚のときに行う最終的な株間は、12〜15cmとする。
  • 連作によりネコブセンチュウの被害が多くなりやすいので、輪作を心掛ける。
  • 早どりできる「三寸」種と「五寸」種を同時期に播いても、収穫期が1ヶ月近くずれてくるので、収穫期の幅を広げることができます。

3.症状と原因

  • 裂根→圃場の乾湿の差が激しいと、裂根が起きやすい。有機質の乏しい圃場であると乾湿の差が大きくなりやすいため、堆肥等をいれて、土づくりを行いましょう。

4.播種準備

(1)施肥

  • 元肥は、播種20日前に前面に施用し、よく耕しておく。堆肥は作付け前には施さず、前作栽培時に施用しておく。

(ニンジン夏どりの施肥例(kg/10a))

肥料名 元肥 追肥 成分量(kg) 備考
N P K Mg
大山田コンポ 150   2.4kg 5.7kg 5kg 2.3kg 又は完熟堆肥3t
苦土石灰 100       3kg 18kg  
重焼燐 20     9.2kg      
有機の匠 811 200   16kg 2kg 2kg    
有機アグレット727   80 5.6kg 1.6kg 5.6kg   追肥は必要に応じ、本葉6枚以降2〜3回に分けて行う。
合計成分     24kg 18.5kg 15.6kg 20.3kg  

 

(ニンジン冬どりの施肥例(kg/10a))

肥料名 元肥 追肥 成分量(kg) 備考
N P K Mg
大山田コンポ 300   4.8kg 11.4kg 10kg 4.6kg 又は完熟堆肥3t
しおさい(鳥羽かき殻) 100   0.1kg        
魚骨(フィッシュボーン) 40   1.6kg 8kg      
有機の匠 811 90   7.2kg 0.9kg 0.9kg    
有機アグレット727   80 5.6kg 1.6kg 5.6kg   追肥は必要に応じ、本葉6枚以降2〜3回に分けて行う。
合計成分     19.3kg 21.9kg 16.5kg 4.6kg  

(2)土壌消毒

  • 特に夏播き栽培で連作するとネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウの被害が多くなる。被害の予想される圃場ではマリーゴールドとの輪作を行う。(4月上中旬播種、5月上旬定植、7月まで栽培する。)やむをえない場合は殺線虫剤で土壌消毒を行う。

5.播種

  • 春、夏ともに乾燥している場合は、雨を待つか十分灌水を行ってから播種する。覆土は1cm程度かけて鎮圧する。さらに雨による流亡を防ぐとともに乾燥防止のため、寒冷紗等の資材をベタがけするか敷きわらを行い、発芽率を高める。

6.播種の管理

(1)間引き

  • 1回目を本葉3〜4枚時(播種後30日頃)に株間3cm、2回目を本葉5〜6枚時(播種後45〜50日頃)に8〜12cm間隔とする。間引き後に中耕・培土を行う。

(2)ベタがけ資材の除去

  • 1回目を本葉3〜4枚時(播種後30日頃)に株間3cm、2回目を本葉5〜6枚時(播種後45〜50日頃)に8〜12cm間隔とする。間引き後に中耕・培土を行う。
  • 除去のタイミングは、遅くとも本葉3枚時までとする。

(3)病害虫防除

  • 夏蒔き栽培では黒葉枯病、しみ症、アブラムシなどの発生が多い。特に、生育初期に病害虫の発生が多いので、この時期の防除を徹底する。春播き栽培では病害虫の発生は少ない。

7.生理障害対策

(1)着色不良

  • 発色の主成分カロチンは21℃以上では着色が遅れ、16℃以下では肥大不良となるため、肥大発色には16〜21℃が適する。
  • また、土壌中の空気が多いほど着色がよく、排水不良地では発色が悪い。

(2)裂根

  • 初期乾燥、後期多湿で発生しやすい。
  • 春播きでは、4〜5葉期に乾燥・低温で生育が遅れ、後半になって温暖で雨が多く水分が多いと急激に肥大して裂根が発生しやすい。

8.収穫

  • 夏どりは、収穫を適期に行わないと、裂根が生じたり、黒班病などが発生しやすくなるので注意する。
  • 収穫出荷は、10a当たり100時間程度かかるので、一度の作付面積を労力に合わせて加減する。
  • 収量目標は、10a当たり春播きで2,500kg、夏播きで4,000kg
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