家庭菜園12ヶ月

栄養豊か花も楽しめるオクラ

夏を越して晩秋までも果実(莢果〈きょうか))を取り続けることができ、フヨウに似た黄色い花は観賞用としてもなかなかのもので、家庭菜園や庭先、プランター栽培共にお勧めです。

食べ方は、刻んで生のままだけでなく、ゆでたり、炒めたり、サラダやてんぷら、みそ漬け、かす漬けなど、使い道が広いのも魅力です。

育て方のポイント

 

高温性で、昼は25〜30度、夜は20〜23度が適温で、10度以下の低温では生育が停止し、葉が黄変、落葉します。よく、「畑に植えたが一向に伸びず、枯れたりする」という声が聞かれるのは、苗が低温に遭っていたり、植えた畑が寒過ぎたりした場合が多いのです。水不足と勘違いして水をやり過ぎると地温が下がり、過湿となり立枯病が発生したりして失敗を助長してしまいます。

苗は3号ポリ鉢に水にひと晩浸した種子を4〜5粒まき、20度ぐらいに加温して育てるか、市販の苗を買い求め、2本立てにして暖かい所で再育苗し、十分暖かくなってから畑に植え出します。図のようにポリマルチし地温を上げてから植えることが大切です。

初めは枝分かれせず、1株当たりの花・果数が少ないので、それを補い、前期収量を高めるために、畑でもプランターでも1カ所2株ずつ植えることをお勧めします。前半は葉もあまり込み合わないのです。

収穫が始まったら、図のように取った果実の下の方の葉は順次摘み取り、盛んに育ち、側枝が伸びだてきたら、主枝の上の方を摘除して側枝に陽を当て、よく伸びるようにします。半月に1回ぐらい、1株当たり小さじ1杯の化成肥料を株の周囲に与え、軽く耕し込みますが、茎葉が軟弱に育ち、込み合っていたら量を控えめにします。

近ごろ各地で葉を筒状に巻き食害する「ワタノメイガ」の多発が見られます。発見次第早めに捕殺するか殺虫剤を散布して防ぎましょう。また根にネマトーダ(線虫)が発生しやすいので、連作を避け、前作に発生が見られた畑では栽培しないよう配慮してください。

板木技術士事務所 板木利隆『JA広報通信』

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