家庭菜園12ヶ月

フィルムマルチ、敷きわらの基礎

マルチとは

土壌の表面をプラスチックフィルムや稲わら、刈り草などで被覆することを総称してマルチ(マルチングの略)と呼びます。(1)雨による土壌の浸食を防いだり、(2)水分の蒸散や、(3)雑草の防止、(4)地温の調節、(5)肥料の流亡防止・・・など、多くの効果が得られるので、野菜作りには一石二鳥の優れもの、欠くことのできない手段といってよいほどです。

フィルムマルチ

 

ごく薄いプラスチックフィルム(一般に農ポリ、0.02mm厚)を地面に敷くことで、地温の上昇、土壌水分の保持、土壌表面の固結防止、雑草の抑止(黒色など)、それに反射光による害虫飛来の回避(銀、白色など)などに効果が表れます。春夏野菜では、低温期の地温上昇と乾燥防止、雑草防止、あるいは夏の地温上昇抑止(銀、白色)に特に有効です。使用に当たっては、図のようにフィルムの種類と土壌への影響の関係をよくわきまえて、効果を十分発揮させるように扱うことが大切です。秋冬、越冬野菜には地温上昇を優先します。その効果は透明の方がより大きいのですが、雑草抑止には無効です。雑草のことを考えて黒板を使う場合には、土の表面をよくならし、フィルムの密着面をできるだけ広くすることが大切です。植え穴付近は土を覆って穴をふさぎ、地温上昇や乾燥防止の効果を高めるようにしましょう。

敷きわら

稲わら、麦わら、刈り草の他にもみ殻、コンポネストなど各種の有機物が材料となります。農家でないと材料の調達が難しいものが多くなってきましたが、夏の乾燥を防ぎ、地温の上昇を防ぐ効果はフィルムよりはるかに大きく、また、有機物の増加による土壌物理性の改善、地表付近の根群の増加、水溶性養分が土に移り有効態カリが増加(特に果樹が有効)するなどの副次的効果も期待できます。ただし地温上昇には明らかにマイナスとなるので、低温期には使えません。

板木技術士事務所 板木利隆『JA広報通信』

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